宿泊業を営むための重要な設備です

ゲストハウス、民泊、バックパッカーズなどの簡易宿所を既存の建物をリノベートして営業をする場合、消防設備をどうしたら良いか気になるところでしょう。

簡易宿所営業の許可権者は都道府県知事(一部市は保健所)ですので、許可申請は知事宛(又は保健所長)におこなうことになります。ただし、これは営業に関する許可申請を提出することを意味しており、提出された書類等で消防設備が適合していることを確認するだけであって、営業を予定している建物が、消防法に適合しているかを判断するものではありません。
申請書の提出時には消防法の要件に適合していることは前提になります。

つまり、建物の消防設備について、消防署より「簡易宿所として営業しても大丈夫ですよ」と予めお墨付きを貰っておかなければ、そもそも簡易宿所の営業許可申請書を提出することすらできないのです。

原則全ての宿泊施設に設置義務

消防法改正で、平成27年4月1日よりすべての簡易宿所施設に自動火災報知設備の設置が義務付けられました。
規模に関係なくすべての施設になりますので、戸建て、古民家を改装する場合、またはマンション、アパートを利用してゲストハウス、民泊の営業する場合は、自動火災報知設備の設置が必須になります。
ただし、一部農家民宿では設置が免除される場合もあります。

自動火災報知設備について

ゲストハウス、民泊では、自動火災報知設備、誘導灯、消火器の設置が義務付けられていますが、建物全体を宿泊施設とする場合と民泊で見られるような空部屋だけを宿泊に提供する施設では、設置する部屋などに違いがあります。

例えば、建物の延べ床面積が500㎡以上の場合、簡易宿所として供する面積に関係なく、建物全体に火災通報装置の設置が必要になります。

建物の延べ床面積が300㎡以上の場合、一般住宅とマンションなどの共同住宅では設置に関して詳細な規定があるため、対象の建物にどのような設備を設置するか消防署に確認をすることが必要です。

一般住宅を利用した場合の自動火災報知設備設置範囲(建物延べ面積500㎡以上を除く)

一般住宅
宿所延べ面積(A)/建物延べ面積(B) 300㎡以上 300㎡未満
(A)が(B)の半分未満かつ50㎡以下 住宅用火災警報器のみ設置(消防設備は不要)
(A)が(B)の半分未満かつ50㎡超又は半分 建物全体に設置 宿所部分のみ設置
(A)が(B)の半分超 建物全体に設置

マンション等の共同住宅を利用した場合の自動火災報知設備設置範囲(建物延べ面積500㎡以上を除く)

マンション等共同住宅
宿所延べ面積(A)/建物延べ面積(B) 300㎡以上 300㎡未満
(A)が(B)の1割未満 宿所部分のみ設置
(A)が(B)の1割超 建物全体に設置 宿所部分のみ設置

その他の消防設備について

ゲストハウス、民泊といった簡易宿所では、自動火災報知設備の他に誘導灯、消火器の設置が求められます。

  • 誘導灯・・・原則全ての施設
  • 消火器・・・原則延べ面積150㎡以上の建物(ただし、150㎡未満の建物であっても、厨房に設置を求められる場合がありますので、消防署に確認が必要です。